CGは児童ポルノにあたるのか?それとも単なる創作物なのか?

文:日本語校閲サービス【JP-PRO】

霞ヶ関を散歩ちう。

コンピュータグラフィック(CG)は児童ポルノに当たるのか否か。女児の裸のCGを製造・販売したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的製造など)に問われた被告人の弁護側が、東京地裁の公判で検察側と対立している。「CGは創造物で違法性はない」と無罪を主張する。

被告人は岐阜市に住むグラフィックデザイナーの高橋証被告。昨年7月に逮捕、起訴されたが、CGが児童ポルノとして摘発された初のケースだ。

起訴状によると、被告は2008年~13年に女児の裸が写っている写真を素材にCGを製造し、インターネット上で販売したという。80年代に出版された女児の裸の写真集を参考にしたとしており、検察側は「実在する女児の写真を基に精巧に作った児童ポルノにあたる」と主張する。

一方、弁護側の主張はこうだ。被告はさまざまな女性の画像や人体図を参考にしてCGを創作した。よって、「実在しない人物を描いた芸術作品であり、刑事罰対象にはならない」という。

1999年の禁止法施行以降、規制強化と表現の自由の「はざま」で児童ポルノの定義を巡る議論は止まることがない。今回のケースでは、いくつかの争点がある。

1つ目はCGが児童ポルノに該当するかどうか。検察側の主張では、モデルの女児が特定できるほど精巧で該当するとしている。一方、弁護側の主張によると、CGは創作した芸術作品であって児童ポルノには該当しないとする。

2つ目はCGが実在する女児をモデルにしたかどうかという事実の認定だ。検察側は、写真集のモデルに酷似しており実在の女児を描いたものとした。これに対し、弁護側は写真集のモデルだけでなく様々な画像などを参考にしたとする。

3つ目は写真集のモデルが18歳未満かどうか。検察は体つきから18歳未満の女児と判断できるとするが、弁護側は、年齢は不明であり検察側は立証できていないと反論する。

今回の裁判の結果によっては、同法が対象とする児童ポルノにコンピュータグラフィックがあたるかどうかについての、ひとつの判断基準が示されることになる。今後の裁判の行方が注目される。

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