いよいよ来年度からSIMロック解除が義務づけられる

文:日本語校閲サービス【JP-PRO】

iPhone again
携帯電話会社が、携帯端末を他社の通信回線で使えないようにロックしている「SIMロック」について、来年5月以降に発売される新製品からは解除を義務づけるよう定められる。SIMロック解除が義務化されると、格安スマホなどが普及することで、高止まりしている利用料金の引き下げなどの効果が期待できそうだ。

携帯電話を使用するときは、利用者の識別ができる「SIMカード」と呼ばれるメモリカードを差し込む必要がある。このSIMカードの差し替えを行えば自由に使用する携帯電話端末を変更することができるが、各通信業者は自社のSIMカードしか動作しないように端末に制限をかけることで、他の通信業者への乗り替えを抑制している。「SIMロック解除」とはこの制限を解除するだ。これは利用者が自由に他社の携帯電話端末も使えるようになるとともに、現在所有する端末を変えずに他の通信業者に乗り替えできることも意味している。

端末の購入後にSIMロックの解除が可能になるまでの期間が気になるところだが、総務省が発表したガイドラインによると一律の期間は設定せず、事業者側に委ねた形だ。事業者側は2年契約で端末代金を割り引く制度が浸透しているため「購入から2年間」を求めていたが、総務省としてはヨーロッパなどの例を参考に3~6カ月を検討していたという。ただ、代金の不払いや転売などの懸念があったため、時期の設定は見送った。

SIMロックの解除は無料で行うよう定めており、正当な理由なく解除に応じない場合は業務改善命令の対象になるという。解除の申し込みはインターネット経由や電話などでも受け付けることになる。

総務省による調査によると、昨年の1世帯平均の携帯利用料は、月に1万1710円。これは10年前と比べると43%も増額となっており、消費支出全体が減っているなかで突出している。SIMロック解除が義務化され通信業者の乗り換えがしやすくなることで、携帯利用料が引き下げられる効果を期待する。

実は総務省は、平成22年にも自主的なSIMロック解除を要請するガイドラインを策定している。しかしNTTドコモ以外はほぼ解除していないのが実態であり、ドコモにしてもiPhoneなど一部の端末は対象外となっていた。今回の義務化により強制的に解除が実行されることになる。

しかし携帯使用料の引き下げ効果が期待される一方で、これまでの携帯対端末市場で一般的に行われてきた販売奨励金制度が打撃を受け、最終的には端末料金の値上がりが生じる可能性も否定できない。さらにその一方では、中古端末市場が活性化する可能性もあるだろう。

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