マクドナルドの客離れが止まらない、ファミリー路線は成功するか

文:日本語校閲サービス【JP-PRO】

マクドナルドの客離れ

産経ニュース


日本全国で3千店舗以上を展開しているファーストフード最大手のニホンマクドナルドホールディングスの今年1~9月期の最終損益が75億円の赤字となった。さらに12月期の最終損益は170億円の赤字に転落する見通しという。仕入れ先だった中国企業の期限切れ鶏肉の使用問題が7月下旬に発覚して売り上げが落ち込んだことなどが響いた。しかし執行役員の今村氏は「チキンの問題が起きる前から既存店の売り上げのマイナスが続いている」と説明しており、他社との競争激化で11月、12月も既存店の売上高は前年同月比で15%以上の減少が続くという。

こうしたなか、30年以上も店舗運営を担い東京都内で34店舗のオーナーだった原島清司さんは、昨年から店舗の売却をはじめ、今月10月までに全店を手放した。月島さんはマクドナルドの現状について、「本社が主導するメニューや営業時間などの効率化は、顧客のニーズと離れている」と指摘している。

逆風がふくなかでマクドナルドは店内完全禁煙に踏み切った。環境への配慮を打ち出すことでイメージ回復を狙った見方もあるが数年前からすでに移行しており既定路線だったとしている。「愛煙家にはご迷惑をおかけしてしまうがきちんとコミュニケーションをとり、引き続きご愛顧願いたい」(マクドナルド広報担当)。

これに対し、現場で働くマネージャーの悩みは深刻だという。

品川区にある店舗からは「子供連れのお客様からは歓迎されているけれど、平日昼間のサラリーマン客が減って大打撃。本社の方針だから従うしかない」という声も聞かれたという。港区のオフィス街に位置する店舗のマネージャーは「長年通ってくれてた常連の喫煙客が周辺にあるタバコの吸えるコーヒー屋さんに流れてしまった」「朝の時間帯のお客さんが目に見えて減ってしまった」と嘆いている。

フードコンサルタントの白根智彦氏は「マクドナルドは気楽なカフェ的機能も担っているので、全店での実施には違和感を持つ。機能的には分煙でよかったはずであるが全席禁煙まで踏み切ったことはある意味謎である」としている。

今月7日、ハッピーセット「トッキュウジャー/ハローキティ」の発売が開始された。9月には「妖怪ウォッチ」とのコラボで話題となった。今年2月にサラ・カサノバ社長は「中食市場が伸び、マックの優位性がなくなりつつある」として、マクドナルドの家族連れの集客力を向上させる方針を発表している。「全面禁煙」もその方針の一環かも知れない。マクドナルドのファミリー路線が定着して成功するかどうか、今後の動向が気になる。

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