来年3月で地下鉄サリン事件から20年 東京消防庁、警視庁、自衛隊が合同でテロ対処訓練

文:日本語校閲サービス【JP-PRO】

地下鉄サリン事件20年を前にテロ対処訓練 東京・日比谷

産経新聞


来年3月で地下鉄サリン事件から20年になる。東京都は、日比谷の地下鉄駅構内で猛毒の化学物質サリンがまかれて多数の被害者が出たテロ事件を想定した訓練を20日に実施した。東京消防庁、警視庁、自衛隊、そして近隣の企業の社員ら合わせて約300人が参加して実際の手順にう沿った救助や除染活動が行われた。

訓練は、東京メトロ日比谷駅の地下鉄通路でサリン入りのペットボトルが割れ、通行人ら被害者が続出する事態を想定して行われた。駅員から連絡を受けて駆けつけた化学防護服姿の消防が、倒れている重症者を近くの日比谷公園に搬送する。警察が現場の汚染レベルを確認、そして自衛隊員とともに現場の除線活動に当たった。公園には除染テントが設置され、運び込まれた重症者を温水シャワーで洗ったり、症状により治療の優先順位を決定するトリアージを行った。

オウム真理教による地下鉄サリン事件は平成7年3月20日に発生した。正式名称は「地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件」で、営団地下鉄(現・東京地下鉄)丸ノ内線、日比谷線、千代田線の乗客および乗員・駅員を狙った同時多発テロ事件。宗教団体のオウム真理教が起こしたもので、神経ガスのサリンが使用された。乗客や駅員ら13人が死亡し、6千人以上が重軽傷を負った。

東京消防庁は化学機動中隊を含む延べ340隊、千人以上の隊員を出動させて被害者の救助活動や救命活動を行った。警視庁は東京消防庁との連携のもと、機動隊を出動させて被害者の救助活動と後方警戒にあたった。

事件発生当初は各種の誤報が相次ぎ、神経ガスであるサリンの散布が原因とは分からなかったため、警察も消防も無防備のままで現場に出動して被害者の救出活動を行った。当初、現場では東京消防庁の化学災害対応部隊が原因物質の特定に当たったが、当時のガス分析装置にはサリンのデータがなく、溶剤として使われるアセトニトリルを検出したという分析結果しか得られなかったという。警察と消防によって救出活動が行われているなか、捜査当局も救出活動と並行して現場検証にあたった。警視庁鑑識課が地下鉄車両を封鎖して現場検証を開始する。事件現場の残留物の一部を警視庁科学捜査研究所の鑑定官が検査したところ、毒物が神経ガス「サリン」であると判明した。

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