リベリア滞在歴のある男性が羽田空港到着時に発熱 現在も健康観察をつづける

文:日本語校閲サービス【JP-PRO】

エボラ流行国滞在男性、羽田で発熱訴え病院搬送

読売新聞


27日午後4時頃、エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカ・リベリアの滞在歴がある45歳の男性が発熱の症状を訴えた。厚生労働省は男性がエボラウイルスに感染している可能性があるとして、東京都新宿区にある国立国際医療研究センター病院に男性を搬送した。日本国内でエボラ出血熱の疑いのある患者が確認されたのは今回が初めてだ。

男性はカナダ国籍のジャーナリストで、エボラ出血熱の取材で8月18日からリベリアに約2カ月間滞在した後、ベルギー経由でロンドン発の全日空278便に乗り、27日午後3時35分ごろ羽田空港に到着した。男性は37.8度の熱があった。男性が乗っていた全日空機の乗客は206人であった。男性はエボラ出血熱患者が多数いる病院などへは行っていないと話しているようだ。

その後の検査で男性からエボラウイルスは検出されなかったが、症状が出てからまだ日が浅いためにウイルスが検出されなかった可能性もあるとして、しばらくは入院して健康観察を続ける。男性の熱は36度台にまで下がり、容体は安定しているという。

日本では現在、エボラ出血熱の水際対策を強化するために感染が流行している西アフリカ3カ国に滞在した人は、患者との接触がなくても入国から潜伏期間である21日間は体調の異変がないかどうかを検疫所に報告するよう義務づけられている。これまでは患者との接触があった場合にのみ報告させていたが、米国での感染などを受けて監視を強化した。

一方、現状では日本国内でエボラ感染が疑われる患者が見つかってもウイルスを確実に診断す体制が整っていない。実はウイルスを扱う能力がある施設はあっても制度上、取り扱いが許されていないからだ。

日本では約30年前、世界保健機関が定めた最高レベルの「レベル4」に相当する設備が国立感染症研究所と理化学研究所の施設に整えられた。ところが地元住民の同意が得られないなどの理由から、現在でも最高レベルでの運用は許可されていない。そのため、エボラ出血熱の可能性がある患者が見つかったとしてもウイルスを単離することも培養することもできないために確実に感染を確認することができないというのだ。

さらに、ウイルスを扱うことが許可されていないために研究面においても弊害が生じている。日本国内ではエボラウイルスに対抗できるワクチンや治療薬を開発することが事実上できない状況にあるのだ。

参考:読売新聞/Sponichi Annex/バイオの杜

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